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イタリアントレンド 2024年8月

2024年8月

イタリア料理、ユネスコ無形文化遺産への道


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イタリア料理の素晴らしさを
世界各国にアピール

イタリア料理がユネスコ無形文化遺産認定に向けて着実に歩み始めている。現在イタリアにおける世界遺産は「フィレンツェ歴史地区」など59ケ所が認定されており世界最大である。また無形文化遺産も「ナポリピッツァの職人技」「イタリアにおけるトリュフの探索と採集、伝統的な知識と実践など」「移牧、家畜の季節的な放牧」「地中海食」といった食関連をはじめ、合計19を誇るが、実は「イタリアにおけるトリュフの探索と採集、伝統的な知識と実践など」「移牧、家畜の季節的な放牧」「地中海食」はイタリア単独では他の国々との共同認定であり、「イタリア料理」を単独で無形文化遺産に、という動きは以前からあったのだ。


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イタリアラグビー連盟もまた、イタリア料理の無形文化遺産化に協力する団体のひとつで、イタリア料理大使として世界中に遠征、友好試合を活発に行っている。2024年7月に来日した際は、ラグビー日本代表との試合に先立ってイタリア大使館でセレモニーが行われ、関係者が集まった会場にはイタリアワインと料理がずらりと並ぶ華やかなセレモニーが行われたほどだ。
無形文化遺産認定を強力に推し占めている中心人物はフランチェスコ・ロロブリージダ農業大臣であり、イタリア料理とスポーツを結びつけることの重要性についてつねに強調している。

正しい栄養価に富むイタリア料理は健康的なライフスタイルの象徴であり、それはスポーツにも通じるという考えだ。2024年9月26日から28日までシチリア島のシラクーサを舞台にG7農業、漁業サミットが行われるがその際にもロロブリージダ大臣を中心に世界の首脳にイタリア料理の素晴らしさをアピールすることになるはずだ。

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また2024年8月25日から30日にかけて、世界で一番美しい帆船といわれるアメリゴ・ヴェスプッチ号が東京を訪れる。これは2023年から1年8ケ月かけて行われるアメリゴ・ヴェスプッチ・ワールドツアーの一環で世界5大陸の31ケ国を訪問する大航海に現在出ている。また、同ツアーは「イタリア料理」の無形文化遺産認定に向けて世界各国にアピールする役割も果たしており、訪問先各地でイタリア料理をテーマにしたイタリア村=Villaggio Italiaが開催されているのだ。7月に寄港したロサンゼルスではさまざまなアトラクションやカンファレンスが開催され、イートインスペースはEATALYが運営した。東京での詳細はまだ未定だが、パスタ、ピッツァ、ワインなどを中心にした、イタリア料理の魅力を日本にPRする貴重な場となることは間違いないだろう。


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対外的にも実質的にもイタリア料理とパスタは切っても切れない関係であり、同意語であることに疑いはない。特にアジア各国では従来からの独自の麺文化の歴史もあり、パスタが受け入れられやすい素地が整っていることから近年はイタリア料理を目指す若い料理人が続々と誕生している。そんな中、パスタアジア一を決める壮大なコンペティションがスタートを切った。


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PASTA CHAMPIONSHIP 2024 ASIA JAPANは渕上誠剛シェフが優勝

去る2024年7月7日(日)バリラ社が主催する「PASTA CHAMPIONSHIP 2024 ASIA JAPAN」が東京で開催され、書類選考を通過した6人のシェフがパスタ日本一の座をかけて熱い戦いを繰り広げた。見事優勝に輝いたのはITALIAN WEEK100参加シェフでもある福岡「FUCHIGAMI」渕上誠剛シェフ。動物製食材を排除したヴィーガンパスタ「Sublimation of Climate(風土の昇華)」は審査員の間でも非常に評価が高く、10月25日の「世界パスタデー」にあわせてフィリピン・マニラで行われるアジア地区決勝戦で、今度はアジア各国代表シェフとともにアジア一をかけて争うことになる。


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ヴィーガンとは日本では比較的新しい言葉だが、精進料理の長い歴史を持つ日本は料理文化、食材共にイタリア料理との親和性が非常に高く、渕上シェフも豆乳などを用いて非常に完成度の高いヴィーガン・パスタを完成させた。アジアレベルで見るとヴィーガン、あるいはベジタリアン人口は数億人単位になることから、ヴィーガン・パスタとは近い将来アジアの主役となるはずであり、今後海外からの旅行者が増えて国際化が進み、10年後、20年度の日本におけるイタリア料理を俯瞰してみると、ヴィーガン・パスタの需要は必ずや高まることになるのではないだろうか。

Photo&Text MASAKATSU IKEDA 
(ITALIAN WEEK 100 Director)

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