Barilla

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2017年レポート
初代チャンピオンによる解説

『バリラ・パスタ・ワールド・チャンピオンシップ』は今年で6回目を迎えるイタリアンパスタ料理競技会で、参加資格は、35歳以下・実務経験4年以上の料理人が選考対象。さらにはイタリア語または英語での申し込み、プレゼンテーション、質疑応答が求められます。
若き料理人たちが世界へと羽ばたく登竜門的大会です。
今年はイタリアや日本をはじめとする世界13ヵ国から合計19名が出場。
回を重ねるごとに大会規模は大きくなっており、6回目を迎えた今年は予選と準決勝をミラノで行い、決勝をバリラが創業以来本社を置く、パルマにて行うという、見どころ満載の大会でした!
特に今年はバリラが創業140周年というメモリアルイヤーを迎えるにあたり、『バリラ・パスタ・ワールド・チャンピオンシップ』はその内容を大々的にグレードアップ。
そんな中、もちろん主役は世界中から集められた19人の才能ある若き料理人たち。
3日間に渡り、世界中が見守った、若き料理人たちのパスタの祭典への挑戦は、見守る側に清々しい感動を与えた素晴らしいものでした。

メモリアルイヤーの今大会のテーマは『パスタの未来』。
大会予選では60分以内にそれぞれが思い描くパスタの未来、『シグニチャー・パスタ』を自分の持っている技術と知識、そして才能を結集して仕上げます。
その中から予選に勝ち残るのは実力ある10人のセミファイナリストたち。
今度は翌日行われる準決勝で、30分以内に『スパゲッティ・アル・ポモドーロ』、イタリアで、そして世界中で食べられている最もポピュラーなイタリア料理を自分の解釈で現代風に表現しなければなりません。
さらにこの厳しい戦いに勝ち残った上位3名の出場者のみが決勝の場をパルマに移し、再度予選で調理したシグニチャー・パスタを披露します。
会場には審査員を務める星付きイタリア有名シェフたちを始め、インタビュアー、フードジャーナリスト、ブロガー、大会主催関係者等を含めて数百人が観戦しています。
今大会はそんなプレッシャーをもろともせず、自分の持っている才能と力を十二分に発揮しなければ勝ち残れません。
この状況下で予選、準決勝と勝ち上がっていった日本代表、大阪のイタリアレストラン『クイントカント』の弓削啓太シェフの勇姿は、観戦していた全ての人に感動を与えました!
以下全出場者19名のシグニチャー・パスタです。

バリラ・パスタ・ワールド・チャンピオンシップ選手
弓削啓太氏
  • スカンピのバリエーションとレンズ豆のフジッリ
  • スパゲッティ・アル・ポモドーロ
  • 弓削啓太氏

日本代表 ファイナリスト
弓削
啓太氏

日本代表として今回、大阪にあるイタリアンレストラン、クイントカントの弓削啓太さん。佐賀県出身。高校野球で甲子園出場経験もあり。高校卒業後、語学留学で訪れたバンクーバーで料理学校へ入学、卒業後は東京のシェ・イノ、パリのギー・サヴォア、東京のイル・テアトリーノ・ダ・サローネを経て、現店でシェフを務める。

弓削シェフが今回用意したシグニチャー・パスタは、『スカンピのバリエーションとレンズ豆のフジリ』。(※1)
元々は苦手だったという豆類は、修業先のパリでその美味しさ、滋味深さに開眼。レンズ豆にスカンピ、さらにスカンピの殻でとった繊細な出汁の旨みを1つの皿の上で表現した。
予選での実演調理中は多数のメディア関係者やカメラマン、インタビュアーからの質問等、十数人に囲まれながらの調理をしなければならず、そこから重圧を感じ、手の震えが止まらない参加者もいたほど。
そんな状況の中、弓削シェフの調理姿勢はまさに威風堂々。
しっかりとした無駄のない動き、常に清潔に保たれた調理台からは確かな経験とブレないハートの強さが見て取れました。
レンズ豆のピューレ、スカンピの出汁を使ったチュイール、スカンピのソテー、スカンピの出汁を吸わせるように仕上げたフジリ、仕上げに柚子の皮をかけて完成。
味噌やいりこ出汁といった日本の食材を気づくか気づかない程度に使用した一品は、バランスよく繊細な味付け。結果は予選を順当に勝ち上がった。

準決勝のスパゲッティ・アル・ポモドーロ。(※2)
準決勝の調理では、トマト水で茹でたパスタにシソの花を添えた極めてシンプルで、凛とした一品を曲げわっぱという和食器に盛り付け、和の心を表現。
結果見事に決勝進出を果たし、3名のファイナリストの一人に!

  • 弓削啓太氏
  • スカンピのバリエーションとレンズ豆のフジッリ
  • スパゲッティ・アル・ポモドーロ
エイドリアン・オーガスティン氏
  • シグニチャー・パスタ
  • エイドリアン・オーガスティン氏

ドイツ代表
エイドリアン・
オーガスティン氏

ドイツから出場したベルリン生まれのエイドリアン・オーガスティン。
彼のシグニチャー・パスタはフェットチーネにエシャロットとともにバターソテーしたダンデライオン(西洋タンポポ)とスモークしたうなぎを組み合わせたもの。
極めてシンプルな内容なだけに逆に1時間という予選の調理時間を持て余してしまった感がある。スモークしたうなぎも調理済みのものを使用していたため、他の出場者と比べ、内容に薄さを感じてしまったのが残念。

  • エイドリアン・オーガスティン氏
  • シグニチャー・パスタ
アックルシオ・ロタ氏
  • シーフード・カルボナーラ
  • アックルシオ・ロタ氏

イタリア代表 優勝者
アックルシオ・
ロタ氏

今回優勝したアックルシオ・ロタ。彼が今回用意したパスタはスパゲッティ、シーフード・カルボナーラ。鶏卵の代わりにボッタルガ、帆立生殖巣、いくらなどをオリーブオイルと一緒にミキサーで撹拌したものをパスタの仕上げに使用している。
シチリア島出身の彼らしく、シチリアで収穫された青蜜柑の皮をすりおろしてアロマを加え、シチリア、マザラ産赤海老のタルタルとキャビアのクネルをスパゲッティの上に盛り付けて完成。クラシックパスタを『リノベーション』(革新)させ、見事に未来のパスタとして昇華させた。

  • アックルシオ・ロタ氏
  • シーフード・カルボナーラ
アニエッロ・ラムーロ氏
  • リングイネ・アッロ・スコーリオ
  • アニエッロ・ラムーロ氏

イギリス代表
アニエッロ・
ラムーロ氏

イギリスから出場した、ナポリ出身のアニエッロ・ラムーロ。
アニエッロが作ったシグニチャー・パスタは、リングイネ『Rocks and Sea』 『岩礁と海』。リングイネ・アッロ・スコーリオという、こちらもイタリア料理ではおなじみの、魚貝類のパスタ。トマト水を使って調理したリングイネを円形に切り取り、その上に魚貝から取った出汁とイカスミで調理したリングイネを盛り付ける。ヒメジのソース、魚貝のエスプーマを上からかけて完成させた。
このパスタは、見た目の美しさを競うアクオリーナアワードを受賞。

  • アニエッロ・ラムーロ氏
  • リングイネ・アッロ・スコーリオ

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